<< POPsとCLASSICsのちがい ✤ main ✤ 地域活性化 >>

写真家セバスチャン・サルガドの映画

- 小学生以下は無料で鑑賞できる -

これはサルガドの意向。こどもにこそ見てほしい、

という、写真家であり冒険家である彼のことばに

どれだけの親御さん達が賛同するのか。いずれは

社会にほっぽり出さられるのに「個人を尊重」

とか意味わからない理由で、順位をつけない競争

させない、羽毛でくすくすくすぶるような教育しか

できない文部省を震えさせるモンスタペアレンツに

告ぐ。

お願いだから、この映画をこどもに見せてほしい。

「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」

監督:ヴィム・ヴェンダース (&ジュリアーノ・サルガド)

あの、ピナ・バウシュ「おどるいのち」を撮ったひと。

もう、それだけで観る価値十分ですけど。冒頭の台詞は


「フォトはギリシア語で”光” グラフは英語で”描く”
 つまり、光と影だけでせかいを描くひとが”フォトグラファー”」

広がる、モノクロで捉えられたブラジルの壮大な大地を背景に
その皴に人生を深く掘りこむ、サルガドの顔が浮かび上がる。

グローバリズム化していく世界と
対極する原住民に焦点を当て、
共同生活をしながら、カメラを構える。

身体をまとう一枚の布から滲み出る歴史
布からのぞく、ビー玉みたいな大きな瞳

ヴィム・ヴェンダースがサルガドに惚れた
一枚も、ある少数民族の女性だった。

「 気づいたら、写真を買っていた。
  人間への愛を感じ、共感できた。」

世界中を旅するサルガドの妻は、勇敢で愛に満ちたひと
10年近く家を空ける父親を、ヒーローだと崇める息子は
母からいつも、寝る前に父の異業を聞いていた。

故郷であるブラジルの、生まれ育った農園へ家族で訪れ
老いた父を前にしサルガドは、かつて楽園だった場所が

干ばつ被害で枯れ果て、父親が失意の中にいることを知り
迷わず、また旅にでた。
気候の変化で、時代の変化で、困窮する原住民の表情を
撮りにいこうとアフリカへ旅立ったのだ。

家族の苦悩から世界の苦悩へ。
その衝動と果てしない行動力が、偉大なる冒険家であり写真家の
所以なのだが、すぐ近くの家族を置いていってしまうのか、など

安っぽい感情が、少しだけ浮かんでしまった。けれど、
妻にとって息子にとって父にとって、サルガドは誇り。

物理的距離などに失われることはない、絆が美しかったです。
そして30年後  息子は映画監督となり、父親を映像でのこす。

旅を続けるなかで、テーマがどんどん変化する。
その過程が、とても面白かった。
速度をあげて変貌をとげる世界と
逆流するように、人間の原点にフォーカスするサルガド。

そこで気づく。干からびた土枯れた水以上に
悲惨なのは、ひとによる滅亡。大量虐殺。

民族同士の紛争、殺される青年たち、写真にうつっいてる集落は
女性と老人ばかり。なんとか生き残ろうと移動を繰り返す民族と

共にする道中、おちてる大量の死体。余すことなく、数十分間
死体の写真が続く。虐殺現場となった、教会、学校、もっとも

印象に残ってしまったのは、ショベルカーに掬われた死体の腕。
そして、貧困。
アフリカの時代が続くが、じぶんのこどもの死体を貴重な水で洗う
父親の写真が心に残っている。骨と皮しかなく、両足はビニールの

紐で結ばれていた。人間らしい てなんだろう。おなじ人間なのに
どうして?元エコノミストでもあるサルガドの嘆きと憤りが最高潮

となり、心がこわれる寸前で家族の元へ帰国する。

彼が命からがら撮り続けた写真は、世界中の新聞や雑誌に掲載され
みえなかった惨状を世界に知らしめた。けど、彼は絶望の淵にいた。

ヒーローに再び光をもたらしたのは、
やっぱり家族だった。

奥さんの発案で、故郷の土に木を植えた。
かつて父と息子が一日中歩いた森を、
10年以上かけて、復活させたのだ。

世界の苦悩は家族の苦悩そして
苦悩を希望にかえるのも、家族。

ここは涙が止まらなかった。ビニールハウスで苗を育てる
奥さんこそ神さまにみえて。サルガドの源泉はここにある。

そしてまた旅の支度をはじめる。森の蘇生を果たした彼が
次に追いかけるのは、「地球」

森林伐採、環境汚染、怒りをそのまま映そうと世界を調査する
中、意外にも半分以上も地球は原型を残していることがわかり、

テーマは、「地球の起源= GENESIS」となったのだ。

社会派をいくサルガドの新境地に、反対の声も多かった

らしいけど、
根幹は変わらないように想う。世界ではいま何が、
起こっているか。地球はどんな姿をしているのか。

北極、南極、アラスカ、過酷な環境で暮す人間や動物、
壮大で恵みに満ちた地球が、くっきりと映されていて

今はネイチャー番組は主流となっているけど、
当時は、みんな驚きだったと想う。
地球ってこんなにすごいの?って。

イソッブ物語の「北風と太陽」じゃないけど、
悲惨な状況に目を背けないことは大切。けど、

そこで打ちのめされた彼が再び気力を取り戻したよう、
美しい地球を見せることで、こんな素晴らしい世界は
永遠に残そう、という意識を芽生えさせる。 それが、

2015年 今も尚 世界を歩き、家族と共に生きる
写真家・サルガドの愛のメッセージなのでした。

kikimoranran.tada



 
cetegory : - ✤ comments(0) ✤ - ✤ -
2015年09月07日(月) 00:49 by kikimoranran [ Edit ]

COMMENT
SUBMIT COMMENT