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おわらない夢.

○×○×年 ○月×日 

チビの私はデブがバレないよう冬は薄着を貫きます。そのため 
太陽が高いのに空は青いのに気温が低い日はこの身に厳しい。 

だけど私にとって久しぶりの休日 
たくさんの幸せが降り積もってた 
冬の晴れた日。小さな雫、ふるふる。 



どこに行きたいかいざ問われてしまうと 
普段妄想するお出かけシーンが一瞬で消えてしまう。 

けれどあえて人ごみの中に紛れ込みたいと思うので 
大概は「渋谷ハチ公」でカラフルな人間たちと同化 
しながら、待ち人を待つ。 

やがて見つかった瞬間が実はこの日いちばんの刺激 
だったりする。そのときの直感で本日の舞台を決定 
する。案外、偏るけれど。



ほぼ貸切状態の銀座線に乗って、上野駅に降り立つ。 
渋谷とは別種の人ごみ。親子、外国人、モッズコート

港町のような、多国籍な色味と年季入った生活感が 
漂うこの街は、東の都の歴史の垢がにじみ出てると 
田舎娘の私にとっては、どうしても特別な場所です。 


ダウンジャケットの羽が飛び散る人ごみをはなれ、 
われわれは春日通をひたすら歩く。 湯島天神の 
方角へ。決して「学業成就」をお参りする為に非ず。
 
「めちゃめちゃ美味い、本物の親子丼」 

幼少時に食べたんだという超絶品の代物を目指して 
手をひかれるまま、繁華街に背を向けて直進します 。


いわゆる「上野」の喧騒はなくなり、30分も経過し、 
少し歩き疲れた私は「まだ?」と怪訝そに尋ねる。 

しかし上野ツーリストは、ここら周辺には老舗料亭や 
有名洋食店が連なってる、此処が本当の上野なんだ! 
と力説するもんだから、とりあえず信じて歩いてく。 


と、足元をカサカサくすぐり始めた イチョウの葉たち 
敷き詰められた山吹色の絨毯。仄かに温もりを感じ 
「冬の散歩道」なんかを口ずさむ。


約40分後、ひっそりと建つ格子戸のお屋敷に到着した。 
なか卯しか知らない私の親子丼イメージとは遥か遠い 
厳粛な佇まい。筆で書かれたメニュー板のお値段は 
これまた桁違い。無言で回れ右してまた歩きだす。 



16時をまわり、早くも辺りに藍色が架かりはじめ、 
腰掛けた時用にたい焼きを買ったなら、公園へと足早に 

向う。が、ツーリストに連れられるまま「公園→」看板と 
間逆に進む。段々と見えなくなる足元の感触だけは銀杏 
カルテット。見上げたら科学博物館のくじらの大きな尾 


息を弾ませ歩道橋をのぼる。自作の曲をハミングで初披露 
しながら、一音一段を痛快に、上野のてっぺんをめざす。 


弧を描く山の手線路上に、今にも走り出しそうな電車と 
乗り込む人々。忙しげな風景なのにその上の銀色の月と 
夕空に溶け込んだそこは、美しくて懐かしくて、手や頬 
から伝わる冷たい空気が体内で熱をもって生まれかわる 

ひとはみんな、どこかへ還っていくんだな。となんだか 
泣きだしてしまいそうな景色はそう、語りかけてくれた。 
(気がする。)


手すりに掴まりながらしばらくその画を眺めて、手の中の
たい焼きが冷たくなり始めたので、階段を駆け下りた。ら 
辺りはすっかり夜だった。外灯を辿ってようやく上野公園へ。 


ぼぉっと静かな威圧感を発光する、国立博物館をバックに 
噴水に腰をおろしてたい焼きを食べた。ふにゃふにゃ生地 
ちべたいあんこは美味しくなかったけど、別に特別どこか 
へ行ったわけではないけど、散らばった、見落としがちの 


守るべきホットコインをひろえた気がする 
乾燥した空気のなかで もぅザックザク。


(翌日、廃れた遊園地へつづく)

メリー ゴラウンド 

ちいさな雫、ふるふる

◆◆
kikimoranran.tada
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2014年12月05日(金) 17:32 by kikimoranran [ Edit ]

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